インドネシア発のゾンビ映画「霊薬」のネタバレと感想を紹介していきます!
※本記事にはネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。
インドネシアのとある村。
その日、村長の家ではパーティが開かれていた。
そこへ1台の車が突っ込んできて…
崩壊しかけの家族は、ゾンビにより崩壊していく村の中で、生き延びられるのか?!
霊薬 (原題:Abadi Nan Jaya) / 2025 インドネシア
監督 :キモ:スタンボエル
脚本 :キモ:スタンボエル 他
出演
エヴァ・セリア / ミカ・タンバヨン / マルティーノ・リオ
あらすじ
インドネシアのとある村。村長の家ではパーティが開かれていた。
お手伝いさんのニッシーは、なかなかプロポーズをしてこない恋人で警察官のラフマンにお怒りモード。
ラフマンはなんとかニッシーに機嫌を直してもらおうとプロポーズをしようとするも、署長から呼び出しがかかり、それすらうまくいかない。
一方そのころ。
村の有力者であるサディミンの家には、サディミンの娘夫婦がやってきて、工場の売却について話し合おうとしていた。
だがこの家族には問題が山積み。
娘・ケネスは、夫・ルディの浮気が原因で離婚目前。
ややヒステリックで息子のライハンにも過保護気味。
兄のバンバンはニートでゲーム三昧。
更に、サディミンの後妻でケネス、バンバンの継母であるカリナは、なんとケネスの幼馴染で元親友。
カリナはなんとかケネスとの関係を修復しようとするも、ケネスは無視!
そんな険悪すぎる空間内に現れたサディミンは、謎の薬を飲み、白髪も消え、若返った姿で現れる。
驚くケネスら。
しかし、突如サディミンの様子が変わり…
みどころ
王道ストーリー×ハイクオリティのカメラワークと特殊メイク
ストーリー自体は王道のゾンビ映画で、意外性は少な目。
むしろ前半のどろどろ人間関係パートで余計に頭を使わされる感があります。
しかしゾンビ発生後からラストまでは、上空からのカメラワークと特殊メイクのおかげで良質なゾンビを摂取できます。
後半、警察署前のシーンは必見です。
いまどき珍しく、子供がちゃんとやられます
時代の変化か、明確に子供がゾンビに食われるシーンのある映画は減ってきましたね。
しかしこの映画では普通に食べられていて驚きました。
そのせいで最後まで、一部生き残りメンツの予想が付きづらかったのはポイントが高いです。
ヒステリック注意報!
ゾンビものの宿命ではありますが、ヒステリックキャラにイライラは募ります。
その前提を置いたうえでも、この映画のメインキャラクターの一人、ケネスはひどい。
ゾンビ発生前から終始イライライライラ…
彼女の背景を考えれば仕方はないのですが、彼女のせいで見ていてストレスがたまりました(笑)
結末(※以下ネタバレ注意)
サディミンがゾンビ化し、襲われたバンバンはつい手元にあったボウガンで撃ってしまう。
大混乱のなか、お手伝いさんのアリスが村長の家に助けを呼びに車を走らせるが、道中でゾンビ化してしまい、村長の家は阿鼻叫喚。
サディミン一家も、混乱の中2チームに分断されていた。
ケネス、バンバンの兄妹は車に乗って、必死にライハンらと合流しようとするも、大量のゾンビに阻まれなかなか合流ができない。
泣く泣く諦め、助けを求めるために警察署へ向かうが、警官たちもやられてしまう。
ライハン、カリナ、ルディはたまたま鍵が開いていた民家に逃げ込むも、ルディはゾンビに噛まれてしまう。
自身がゾンビになってしまうことを悟ったルディは、ライハンに「パパとママはいつも喧嘩をしてばかりだが、愛しているんだ」と告げ、ひとり離れようとする。が、間に合わず、発症。
カリナは懸命にルディを退け、壁に刺さっていた棒にルディが突き刺さったことでなんとか助かる。
そのとき、家の奥から声が聞こえる。
カリナが近づくと、そこにいたのは命からがら生き延びたニッシーだった。
なんとここは、ニッシーの家だったのだ。
携帯で連絡をとりあうニッシーとラフマン、カリナとケネス。
必ず合流することを誓いあう。
警察署組のラフマン、バンバン、ケネスは武装してゾンビの群れを抜けて、バイクを手に入れニッシーの家へ向かおうとするが、あまりの数の多さに断念。
トラックに逃げこんだケネスと、警察署内に逃げ戻ったラフマン、バンバンにさらに分かれてしまう。
カリナたちも、ニッシーのバイクに乗り警察署に向かおうとしていた。
そしてついてに、ケネスとカリナらが合流!
トラックに乗り込み、警察署でまつラフマンのもとへ向かおうとするも、運転がうまくいかずに警察署に突っ込んでしまう。
更に悲惨なことに、バンバンの足が瓦礫に挟まってしまう。
崩れた壁から襲い来るゾンビの大群。
ニッシーは牢屋に閉じ込めていた署長ゾンビに噛まれてしまい、ラフマンも侵入してきたゾンビに襲われてしまう。
ゾンビに食われながらも、胸元からなんとか指輪を差し出すラフマン。
ニッシーもそれを視認し、2人は息絶える。
バンバンは自分が助かることをあきらめていた。
このままでは全滅してしまう、と考えたバンバンは、「俺はずっと逃げてきた。だから、今度は逃げない」といい、ケネス、カリナ、ライハンを逃がす。
床に垂れていたガソリンに向かい、火をつけ、警察署は爆発。
やっとの思いでバイクにたどり着いた3人。
エンジンもかかる、これで逃げられる、と振り返ったカリナが目にしたものは、腕に噛みあとを負ったケネスの姿。
ケネスはライハンをカリナに託すと、ゾンビをひきつけ、自身の頭に銃口を向けた。
なるべく遠くへ。悲しみを背負いながらも、バイクを走らせるカリナとライハン。
その背後では、黒煙があちらこちらから上がっていた。
そのころ。都市部のある一室で、金持ちの夫人があの若返り薬を口にし、喜ぶ。
「白髪が消えた!」と。
感想と考察
Abadi Nan Jaya:俺たちの戦いはこれからだ!
この映画の原題でもある「Abadi Nan Jaya」は、「不滅の繁栄」という意味だそう。
若返り薬のことを示しつつ、不滅…すなわち、ゾンビの繁栄を示していますね。
そしてエンディングはまさしく「不滅」エンド。
最終的な生き残りは、カリナとライハンの2名でした。
しかし、彼女らの逃げた先でも、ゾンビが発生してしまうことは容易に想像がつくエンディング。
果たして彼女らは、無事保護されたのでしょうか…
続編がいくらでもつくれそうな終わりでした。
嫌な奴ら、でも
この映画のメインの登場人物たち、最初は嫌な印象の人間が多すぎるんですよね。
ヒステリックケネス、ニートのバンバン、浮気夫ルディ、娘の同級生に手を出したサディミン、金銭目的?に、友達の父と結婚したカリナ。
しかし、カリナとサディミンは本当に愛し合っていたことや、バンバンはずっと父からの否定に悩まされており、彼なりに苦しんだ結果動けなくなっていたことが発覚します。
ケネスも、これからひとりでライハンを育てていきたいという決意から、ヒステリックになってしまっていただけで、本質的には息子を大切に思う母なのです。
ルディについてはあまり好きになれませんでしたが、見ていくうちにそれぞれの人物の印象が変わる映画でした。
残された謎:雨で立ち止まる理由
雨で立ち止まるゾンビ
この映画のゾンビは、視覚と音に反応し、人間の全力ダッシュのスピードで襲い掛かってきます。
知能はそこまで高くなさそうですが、よじ登る能力はあるため、高いところにいても安心はできません。
しかし、雨が降るとなぜかその場で立ち止まるのです。
この性質のおかげで、登場人物たちは何度か窮地を救われます。
ですが、映画内ではなぜ立ち止まるのかについては明確にされていません。
インドネシアにおける「雨」
インドネシアの一部地域では、雨や水を「清めるもの」「再生を促すもの」として扱う文化があります。
そのため、不浄の存在であるゾンビに対して効果を発揮する、とも考えられるのではないでしょうか。
もしくは、若返り=再生の途中であるゾンビを、更に再生させる…なんて嫌な妄想もはかどります。
元々汚れを清める際に使える水ですから、納得ですね。
まとめ

評価がかなり分かれていたけど、私は面白かった!
この映画がおすすめの人
・王道のゾンビ映画が見たい人
・活きのいいゾンビがみたい人
この映画がおすすめできない人
・映画はたっぷり考察したい人
・血や臓物が苦手な人


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