努力 未来 A BEAUTIFUL STAR!ホラーアニメ映画「整形水」ネタバレと感想

ホラー

映画「整形水」のネタバレと感想を紹介していきます!
※本記事にはネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。

整形水 (原題:성형수) / 2020 韓国
監督 :チョ・ギョンフン
脚本 :イ・ハンビン
出演
ムン・ナムスク / チャン・ミンヒョク / キム・ボヨン
(吹替) 沢城みゆき / 諏訪部順一 / 上坂すみれ 

韓国でも話題となったサイコホラー!
美しさに取りつかれた主人公がたどる結末とは…

あらすじ

自身の容姿に自信がないイェジは、芸能事務所のメイク担当として働いている。
職場では人気美人タレント・ミリに理不尽に容姿に関する罵倒を受け、ストレスから過食。
食べ物を買いに行った先のコンビニ店員からも馬鹿にされるなど、鬱屈とした毎日を過ごしていた。
しかし新人俳優のジフンからはその瞳の美しさを褒められ、舞い上がるイェジ。
母親に「私の瞳ってきれい?」と聞くと、「いわれてみれば綺麗ね」という母親。
「いわれるまで気づかないなんて!」と憤慨したイェジは悪態をつくと自身の部屋へ籠るのだった。

ある日、イェジがエキストラとして出演したテレビ番組の映像がネットでプチバズり。
「ブス」「デブ」などの心無い言葉の数々に傷ついたイェジは引きこもってしまうようになる。
そんなイェジのもとに、塗るだけできれいになれるという「整形水」のモニター依頼が届いて…

みどころ

美容大国・韓国らしいルッキズムが前面に押し出された映画です。
「世にも奇妙な物語」や「ヘルタースケルター」が好きな人には刺さると思います。
アニメ映画といっても、3Dアニメのため絵柄に苦手意識を持つ人もいるかもしれませんが、頼むから中盤まで見てほしい…!

主人公含め、登場人物全員難ありのため、感情移入はできませんでしたが、それでも見終えた後の満足感はばっちりでした。
アニメのためやや緩和されているものの、グロテスクなシーンも多いので、苦手な方は要注意。

結末(※以下ネタバレ注意)

整形水で全身整形するために両親を脅し、2億ウォンを支払ったイェジは見違えるほど美しくなった。
これまでの自分はなかったことにして、ソレと名乗るようになり、様々な男とデートをして品定めをする。
一度美貌を手にしたソレは醜くなることを過度に恐れるようになり、少し太っただけでまたもや整形水に浸かってしまう。
うとうとしているうちにスマホの電池が切れ、規定時間以上に整形水に浸かった結果、ソレの肉は溶け、人としての原型を留めない姿になってしまった!

両親が自身の肉を分け与えたことで、なんとか動けるようになったソレであったが、その姿は非常に醜い。
このままでは生活できない!と思ったソレは、有り金をかき集めて以前自分を美しくしてくれた施術師の女性のもとへ向かう。
しかし、「そんなはした金じゃ整形水1本にすらならない」と言い捨て、取り合わない施術師。
なんとか頼み込み施術してもらったが、ソレの所持金では顔と手しか治してもらえなかった。
「治すなんて言ってない、恩知らずの豚」という施術師に激昂したソレは彼女を手にかけ、その肉を自身につぎ足すことで美しさを取り戻す。

美しさを手に入れ、かつてのミリのように芸能界で輝くソレ。
自身がイェジであることを隠したうえで、ジフンとも付き合い、ついには彼からプロポーズを受ける。
だがソレは、自分が手にかけた女性や、自分の肉が溶ける幻覚を目にするようになっていた。

そんな中ジフンの家に訪れたソレは、彼の家族写真を目にする。
その写真にはジフンの2人の姉と両親が映っていた。
美しい母と天使のように美しい姉…下の姉は醜い。
「上のお姉さんは天使のようね」と言うソレに、ジフンは「本当に天使だったのは下の姉だよ」とつぶやいた。

デザートを作るというジフンを待つ間、彼の家を見て回っていたソレは、とある部屋で整形水のボトルや女性たちの写真、身分証明書を見つけてしまう。
その中には、最近芸能界から姿を消したミリのものもあった。
なにかがおかしいと逃げ出そうとしたソレはジフンに捕まり、整形水の上に吊るされてしまう。

「あなたもわかるでしょう?」と語り掛けるジフンは、実は自分が下の姉自身であること、女性として美しくなったが際限がなく、男として綺麗な女性に近づき、美しいパーツを収集していることを告白した。
ジフンの膝にはミリの顔が移植されており、「あなたの瞳もここに加えてあげる」というのであった。

それから数日後、あらたな女性に目を付けたジフンは、美しい唇をもつ女性の写真を見つめながら膝に語り掛ける。
その膝には、ソレ(イェジ)の瞳が恐ろしさを称えていた。
「やっとあなたたちにぴったりの唇が見つかった…愛してる」
自身の膝にそっとキスをするジフンをうつし、エンドロールへ。

感想と考察

壁に阻まれた経験

主人公のイェジはかつてバレエを習っていましたが、その醜い顔面のせいで正当な評価を受けられなかったという過去を持ちます。
この経験から、イェジは「醜いものと美しいものの間には乗り越えられない壁がある」と学び、卑屈になってしまうのです。
とはいえ過食で太ったのは自己責任ですが、このセリフには共感してしまう部分もありました。
ここまで露骨ではないかもしれませんが、日本でも容姿による壁を感じた経験のある人はいるのではないでしょうか。
どんなに頑張ってもあの娘には勝てない、そんな誰でも感じる気持ちが狂気に転じるのは、現実でも日々起きていることかもしれませんね。

怠惰で醜いことは自分が一番わかっているから

イェジは顔の造形だけでなく、非常にふくよかな体型をしているのですが、それすらも整形水でなんとかしようとしてしまうんですよね。
当たり前ですが整形水を使うのが顔だけ、もしくはせいぜい+豊胸くらいであれば、2億ウォンもいらなかったわけです。
その後少し太っただけで整形水を使おうとするイェジに対し、お母さんにも「痩せるなら運動とか…」と引き留めるわけですが、それを無視し、その結果肉が溶けてしまうという惨事につながります。
更には施術師から「豚!」と言われたことに憤慨しているあたり、太っていたということはイェジにとってかなり地雷のようです。

一方でソレとなったイェジ自身も、過去の過食に走る自分を幻影としてみているあたり、怠惰な自分であることは認知していたように思えます。
頑張りたいけれど頑張れない、そんな弱さがソレの悲劇を引き起こしたともいえるため、私も自分の弱さに甘えないように気をつけようと感じました。

人と比べている限り、幸せにはなれない

ジフンは醜い自分から美しい女性になったものの、人と比べてしまうと際限がないと気が付いて、美しさを収集する側に回ることにした人間です。
ソレよりも根深い美への執着をもったジフンは、美しさを収集し、大きな家にも住み、莫大な資産を手に入れて一見幸せそうにも見えます。
しかし、あんな誘拐を重ねていては、いずれ警察にお縄になるに違いないです。
他人と比べることすべてが悪だとはいいませんが、自分自身に満足しない限り、幸せにはなれないのでしょうね。

まとめ

ルッキズムは日本でも深刻なテーマとして議論にあがりますが、なにごとも加減によるなと思わされる映画でした。
甘い蜜に吸い寄せられるのではなく、自分ができる努力を無理のない範囲で重ねたいです。

努力せずに美しくなろうなんて甘いね!

この映画がおすすめの人
・自分の見た目にコンプレックスがある人
・人と比べてしまう人
この映画がおすすめできない人
・グロいのが苦手な人
・自分の容姿に満足している人

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