映画「イビルアイ」のネタバレと感想を紹介していきます!
※本記事にはネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。
メキシコのおばあちゃんもやばそうだ!
目元がくりぬかれたポスターが印象的な映画。
タイトルにもなっている「イビルアイ(邪視)」は世界の広範囲で語られている民間伝承です。
妬みや恨みをこめて相手を睨むことで呪える、といいますが、果たして…?
イビルアイ (原題: Mal de Ojo) / 2022 メキシコ
監督 :アイザック・エスバン
脚本 :アイザック・エスバン / ジュニア・ロザリオ / エドガー・サン・フアン
出演
オフェリア・メディーナ / パオラ・ミゲル / サマンサ・カスティージョ
あらすじ
都会のマンションで両親と妹と暮らす13歳の少女・ナラ。
現在マンション内の子供たちの間に謎の奇病が流行っており、妹・ルナも夜な夜な発作を起こし、薬なしでは命の危険もあるという状況だった。
ある日、「妹の病気を治すため」という両親に引きずられ、嫌々ながらも母の故郷へ行くことに。
生まれて初めて会う祖母・ホセファの家に滞在することになるものの、電波は通じず、せっかくのプールは汚れていて使えない。
ナラのことを厭味ったらしく「お嬢さん」と呼んでくるのも気味が悪い。
退屈から反抗的な態度に拍車をかけるナラに対し、おてつだいさんの若い女性・アビゲールは村に伝わる伝承を語ってくれる。
村にはかつて、美しい三つ子の姉妹が暮らしていたが、ある日老齢の魔女がその美しさを羨み、三女に目をつけてしまう。
日に日に弱る妹の様子に、残された2人は若くて美しいカリブの魔女のもとへ向かい助けを求める。
カリブの魔女の助けを借り、「対価を払えばどんな願いもかなえてくれる:という怪物・バッカを完成させた2人。
しかし、妹を弱らせていた魔女、それがカリブの魔女自身であったと知ってしまう。
老齢の魔女は三女の血を飲むことで、美しく若返っていたのだ。
この話を聞いて以来、ナラはホセファが魔女ではないかと疑い始めて……
みどころ
ひとことで言えば、『呪詛』『イッチ・リヴズ・インサイド』などの民間伝承系ホラー作品。
ただ上記作品よりも伝承と現実で巻き起こる出来事のバランスがよく、合間合間に挟み込まれる魔女と三姉妹の話が、現実にどう影響しているのかがわかりやすかったです。
ストーリーも大枠の流れはわかりやすく、それでいて「最後そうなるか~!」と思わされる要素もあり、最後まで飽きずに見られました。
視覚的にも聴覚的にもびっくり要素も盛りだくさんで、数分程度ではありますがゴア描写もあるので心臓の弱い方は要注意。
ホラー映画あるある、やきもきする子供が主人公なので、どん!と見守る姿勢も必要。
作りこみが足りない部分もあり、最後まで投げっぱなしの謎もいくつかあるため、すっきり考察したい人には不向きかもしれません。
結末(※以下ネタバレ注意)
ホセファがルナの血を飲んでいることに気が付いたナラは、ついにルナを連れてホセファの家を脱出する。
森の中を駆け回り、アビゲールの家をみつけ助けを求める。
いくら声をかけても反応がないため家の中に入ったナラは、アビゲールが恋人と性行為に耽っているところに遭遇する。
更に、アビゲールはナイフを取り出すと自傷行為をはじめた。
血まみれで快楽にあえぐ様子に、ナラは急いで引き返す。
しかし追ってきたホセファに捕まってしまい、ルナ共々連れ帰られてしまう。
ホセファは何故か顔を包帯でぐるぐる巻きにしており、「ママに頼まれたんだ」と言い張りルナの血を抜く。
電話線も抜かれ、両親への連絡もできない。
ついにナラはホセファに直接抗議をしかけ、再びルナを連れて家から脱出する。
森の中では、怪しい仮面をつけた祈祷師とそれを囲む人々、さらにアビゲールとその恋人の死体が。
アビゲールは自身の首を切り裂き絶命、祈祷師の手の中には大きな卵…
ホセファだけじゃない、この地域全部おかしい!と駆けだすナラ。
しかし森を走るうちにルナは発作を起こしてしまい、薬を打ち損ねたため息を引き取ってしまう。
そのとき、祈祷師の手にある卵が孵る…それはあの昔話に出てきたバッカだった。
おもむろに仮面を外した祈祷師は、まさかのナラの母親・レベッカだった!
母親の願いにより、ルナは息を吹き返す。
ルナは無事に健康になり、一家は都会のマンションへ戻るため車に乗り込む。
家の中にいるホセファのもとへひとりお礼に行くレベッカ。
ホセファは突如レベッカへ襲い掛かり、気を失ったレベッカの顔に自身の包帯を巻きベッドへ寝かせる。
包帯をとったホセファの顔は、なんとレベッカと瓜二つだった。
数分後、レベッカに成り代わり車へ向かうホセファと入れ替わりに、ナラはホセファの部屋を訪れる。
この魔女を生かしてはおけない、と、ベッドで眠る包帯の女をハサミで刺し、しまいには魔女の弱点である塩をかけるナラ。
それからしばらくして。
ナラは初潮を迎え目を覚ます。
洗濯物のためにベッドから降りると、鍵のかかった部屋から物音がすることに気が付く。
中に入ると、祖母の家で見たような祭壇と魔女の皮※が。
※魔女は空を飛ぶときに人間の皮を脱ぐ、といわれている
混乱するナラの前に、皮を脱いだ魔女が現れる。
魔女はナラを抱きしめると、「あなたも大人になったようね」…「お嬢さん」というのだった。
感想と考察
ナラがシンプルに可哀想
心からこのひとことに尽きちゃいます。
映画開始時点から、病弱な妹優先の生活でフラストレーションがたまっているのにお母さんはナラを叱ってばかり。お父さんは優しいけれど妻の尻に敷かれている感ありあり。
田舎の家で唯一心を開いていたアビゲールも狂っていたし、自分のせいでアビゲールの恋人が死んだと思ってしまうし。
たしかにナラの行動にはみていてヤキモキする点は多いけれど、子供なんだから仕方ないです。
最後は知らず知らずのうちに実母に手をかけてしまった上に、自分も魔女の血を継いでいると知らされる超バッドエンド。
ナラ視点でみたらとーーーっても理不尽です!
邪視はトリガー
この映画において、邪視はあくまでトリガーにすぎません。
最初は老齢の魔女から若く美しい三姉妹、特に三女へ向けて。
次にホセファから若く美しく、オンナとして満たされているレベッカへ向けて。
ホセファはレベッカと違い、物語開始前までは老いることを選んでいたようなので、吸血願望は三大欲求程強いものではなく、抑えようと思えば抑えられるものなのだと思います。
ラストで自身も魔女であると知ったナラは、誰かに邪視を向けることなく人間として生涯を終えることはできるのでしょうか?
それとも母や叔母のように、誰かの血を吸い永遠の若さと美しさを得るのでしょうか?
結局どういうこと?
この映画の登場人物の関係図はこうなります!
レベッカとホセファは、アビゲールの語った三つ子の長女と次女だったのです。
これはナラが発見した写真をみることでわかります。
レベッカは黒魔術に心酔し、マンションの子供の血を吸うことで若さを保ち、
黒魔術を嫌厭したホセファは田舎の館でひとり年を重ねて過ごしていました。
しかし若さを保ち、夫に愛され、オンナとして生きるレベッカをみて、ホセファも若返ることを決意します。
投げっぱなしの謎
アビゲールは何故死んだ?
儀式の一環で命を落としたアビゲールですが、彼女の行動原理にはいささか疑問が残ります。
ただのアブノーマル希死念慮もちパターンで片付けてしまうのが楽ですが、普通に考えたらきっと儀式の一環ですよね。
でもバッカを作るのに必要だったのはレベッカの命だったので、無駄死にだった可能性も浮上してきて可哀想。
実は村の中で魔女に対するカルト崇拝があった、というのもストーリー上考えにくく…。
儀式にいた村人たちは何者か
作中語られた話では、魔法を使えるようになったレベッカとホセファは村人から距離を置かれ、孤立したということでした。
そのためもしレベッカがルナのためにバッカを作りたがったところで、儀式に協力するとは思えないんですよね…。
考えられる線としては、当時のことを何も知らない現代の村人たちが、村の善良な老人であるホセファのために協力した、というところでしょうか。
もしくは魔女は相手の記憶や意識を操作できるようなので、レベッカが操った?
しかしバッカを作るのにあの村人たちが必要だったとも思えず。
まとめ
いかがでしたか?
女性なら若さや美しさを渇望してしまう気持ち、わかってしまう部分も多いのではないでしょうか。
みんなはくれぐれも魔女にならないようにね
この映画がおすすめの人
・こわい老人が見たい人
・民族伝承ホラーが好きな人
この映画がおすすめできない人
・考察材料が欲しい人
・血が苦手な人
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