映画「日本のいちばん長い日」のネタバレと感想を紹介していきます!
※本記事にはネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。
1945年、戦局は厳しく、大空襲や原爆投下により民間人への甚大な被害が発生している日本において、ポツダム宣言を受諾すべきか否か…
役所広司をはじめとした実力派の俳優陣が織りなす衝撃の実話!
日本のいちばん長い日 / 2015 日本
監督 :原田眞人
脚本 :同上
出演
役所広司 / 本木雅弘 / 松坂桃李 / 山崎努 / 堤真一 / 神野三鈴
あらすじ
1945年4月。
特攻の開始、硫黄島での戦いなど、徐々に、確実に戦局が傾いていた。
中国国民党との和平工作に失敗したことで総辞職へ追い込まれた小磯内閣の代わりに、昭和天皇直々に勅命を受け総理大臣となった鈴木貫太郎。
そして鈴木から頼まれ、陸軍大臣となった阿南惟幾。
1945年7月に連合国軍から提示されたポツダム宣言をめぐり、日本は降伏するか、本土決戦に挑むかの2択を迫られる。
これ以上の被害を防ぐためにも受け入れるべきだという鈴木と、最後まで戦うべきだと主張する阿南。
更に陸軍のなかでは、陸軍少佐・畑中健二らを中心に、降伏させないためにもクーデターを引き起こそうという動きも広がり始める。
そんななか8月、広島、長崎への原爆投下を受け、受諾しかないという状況まで追い込まれるものの、なお意見は割れていた。
そこで昭和天皇は、天皇の名のもとに、ついに御聖断をくだされる…
みどころ
戦争映画というと、戦車や銃、爆撃機などを使った戦闘シーンをイメージされるかもしれませんが、この映画はそういった激しい闘いは描かれません。
しかし確かに起きていた静かな闘いを、鈴木、阿南、畑中を中心に描いています。
視覚のインパクトへ訴えず、戦争の悲惨さを伝える映画は表現の技量が問われると思うのですが、俳優陣も非常に豪華で実力派ぞろい。
(なんとちょい役で戸田恵梨香さんと松山ケンイチさんも出演されていました)
登場人物が多い作品ですが、中心メンバー以外の人々についても丁寧に描かれており、特に阿南の妻の姿は印象的でした。
これが実話だと思うと胸が締め付けられる話ですが、だからこそ日本人には見てほしい映画に仕上がっています。
ただセリフ回しが早口なのに加え、登場人物も多く、歴史的事前知識がないと、状況に理解が追い付かない部分もあるので、可能であれば簡単な年表だけでも確認してから視聴することをおすすめします。
結末(※以下ネタバレ注意)
8月14日。
昭和天皇は、ついに御聖断…ポツダム宣言の受諾、すなわち降伏を決定する。
泣き崩れる者、こぶしを握り震える者たちの中、阿南はひとり決意を固めた表情をしていた。
8月15日正午の放送へ向けて、玉音放送の録音へ励む昭和天皇と宮内庁。
一方でクーデターの動きを感知し、なんとか防ごうとしていた阿南の苦労もむなしく、畑中ら陸軍は球場を包囲し、玉音放送のレコードを奪取しようと奔走する(のちの宮城事件)。
8月15日早朝。
阿南は義弟である竹下と、クーデターの知らせを届けた井田と共に酒を酌み交わし、自身の思いやこれからの日本に対する希望を語る。
「太平洋戦争の大罪は陸軍が負うべきだ」と考えた阿南は、竹下の介錯も断り、ひとり割腹自殺を遂げた。
そのころ、畑中は玉音放送のレコードが流される予定の放送局へ到着し、なんとか自身の思いを伝えさせてくれとあがくものの拒否される。
そしてクーデターの失敗を悟った畑中と椎崎は皇居にかかる二重橋を前に、拳銃自殺を遂げる。
正午。
なんとか守り抜かれたレコードは無事放送局へと到着し、国民へ向けて長きにわたる戦争の日々の終わりが告げられるのであった。
感想と考察
ハンカチ必須
鑑賞中涙が止まりませんでした。
私たち日本人は、この映画の結末がどうなるか、知っている状態で鑑賞しています。
結末の先の平和な日本で生きている以上、戦争の継続を望んだ畑中らの考えよりも、御聖断が正しかったことは身をもって体験しているわけですが、それでも阿南や畑中らの心中を想像すると胸が苦しくて仕方なかったです。
しかし陸軍らの気持ちを一番慮っていたのは、他の誰でもない昭和天皇であることに違いないでしょう。
常に落ち着いて、凛とされていましたが、阿南の娘の結婚式について心配するなど、ひとりひとりに深い愛情を向けているように見えました。
そんななかで御聖断をくだされるというのは、如何に重いことだったか。
また、自決を決めた阿南に対し、気丈に送り出した妻の姿がとにかく切ない。
次男の最期を伝えるべく、阿南のもとへたどり着いたときにはもう自決を遂げたあとだったわけですが、それでも彼女は穏やかに語り掛けます。
これを愛と言わず、何と呼んだらいいのか。
託された未来を
脚色はあるでしょうが、この映画は実話をもとにしています。
映画の終盤、鈴木と阿南が最後の会話を交わすシーンで、「日本の前途に不安を感じてない」というセリフがありました。
きっと当時の人々は、たとえ降伏しても、必ず日本人は立ち上がると信じて託してくれたのだと思います。
繋がれたバトンを大切に、同じ過ちを犯さずにこの日本を生きていきたいと身が引き締まりました。
まとめ
お恥ずかしながら、宮城事件のことすら知らなかったのでちょっと反省しました。
この映画をきっかけに戦争について学ぼうと思います。
戦争について全然知らないなって愕然としたよ
この映画がおすすめの人
・終戦についてイメージが湧かない人
・泣ける映画を見たい人
この映画がおすすめできない人
・いま元気がない人
・テンションをあげたい人
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